2019年3月、新日本プロレスのエース、棚橋弘至のコンディションが上がらない。
原因は膝の怪我の悪化のようだ。右膝の変形性膝関節症で休場していたこともあるし、棚橋曰く「もう切れる靭帯がない」と言うほど悪い状態だそうで、治る怪我ではないらしく、痛みに付き合っていくしかないそうだ。
確かに、靭帯の再建手術は時間もかかり、その間欠場を余儀なくされる。しかも、棚橋の場合は”切れる靭帯がない”のだから替えの靭帯も足りないだろう。
つまり欠場して”はい!完全に治りました!”というものではないので休んだとしても膝の状態は上がらないそうです。
棚橋と同様、過去にも膝を怪我したプロレスラー
膝が悪い代表的なレスラーと言えば、小橋建太と武藤敬司でしょう。
小橋建太
武藤啓司
近年のプロレスのスターですが、二人とも膝が悪いためロープに走れません。膝を庇っているのかいつもガニ股で歩いているのが印象的でした。二人が膝を悪くしたのは自身のフェイバリットホールドのせいです。
2人の得意技はムーンサルトプレス(武藤はランディングボディプレス)という技です。ムーンサルトとランディングボディプレスの違いはまた後日…。
どんな技かというと、
ちょうど二人がやっている動画がありました。この動画を見てもわかるように遠心力を使って身体を叩きつける技です。破壊力や美しさはありますが、膝をマットに打ち付けます。しかも身長180cm以上で体重は100キロ超あるので負荷も半端じゃないです。
棚橋弘至のフェイバリットホールドは”ハイフライフロー”
棚橋弘至選手は背面跳びではありませんが、全体重を相手に浴びせるハイフライフローをフィニッシュホールドに多用していました。
膝をガンガン打ち付けます。このようなトップロープからのプレス技は相手に与えるダメージも大きいのですが、自身の身体へのダメージも大きいです。ですから若いうちは飛び技をメインに戦っていた選手も、飛び技連発と長年の戦いで身体にダメージが蓄積し、だんだんと使用頻度が減ってくることが多々あります。
小橋建太と武藤啓司は膝を守るために別のフェイバリットホールドを使い始めました。
プロレスラ―で怪我を抱えていない選手はいない、と言われるほど、選手は満身創痍で日々の試合を行います。ただプレス系では膝の状態を悪化させるだけなので小橋建太と武藤啓司は新しいフェイバリットホールドを作りました。
小橋建太は「剛腕ラリアット」
うーん、これなら膝への負担は無さそうですね!ラリアットは走って打つ!という常識をぶち破り、ただただ太い腕で叩きつけるという逃げ場のない残酷な技だと思います。
一方の武藤は「シャイングウィザード」です。相手の膝に片足で乗っかり、もう片方の膝を顔に当てる技です。少し助走があるので勢いもありますし、相手の膝に片足を乗せるので自力でのジャンプはそんなに高くなくてもいいですね。着地もお尻からですし、膝への負担はありません。
シャイニングウィザードは日本プロレス界に一石を投じました。武藤選手が使い出して「片膝立ちの相手に自分の片足を乗せて踏み込むスタイル」を”シャイニング系””シャイニング式”と称されることになり、後に”シャイニングケンカキック”、”シャイニングトライアングル”など様々なバリエーションが存在します。
この二人は膝への負担を避けるためにこのような技を開発したと考えられます。前述したムーンサルトプレスやランディングボディプレスも使っていましたが、1年に5回以下ぐらいに抑えていたのではないでしょうか?ビッグマッチのときだけ見れたような気がします。
棚橋弘至のハイフライフロー以外の決め技は?
ハイフライフロー以外での棚橋弘至選手の決め技と言えば、
「ドラゴンスープレックス」と
「テキサスクローバーホールド」ではないでしょうか?あとは隙をついての丸め込みです。2019年3月に行われたニュージャパンカップでは準決勝まで勝ち進みましたが、SANADA選手に敗れてしまいました。
以前はスタイルズクラッシュやファルコンアローも使っていましたね。しかし、スタイルズクラッシュは以前に新日本プロレスに参戦していた”AJスタイルズ”のオリジナル技なので使いづらいし、ファルコンアローも繋ぎ技として使っていたのでフィニッシュホールドとして昇華できるか難しいところです。
テキサスクローバーホールドでのギブアップ勝ちはもちろんアリなのですが、フォールして3カウントを奪う技が欲しいところ。しかも、膝への負担が少ないやつ。
棚橋選手の膝への負担が少ないフィニッシュホールドを考えてみた。
井上が考える棚橋弘至の新フィニッシュホールド~打撃系
3カウントを奪うにはそれなりの説得力のある技がいいです。小橋選手と武藤選手はラリアットと膝蹴りの”打撃系”です。棚橋選手も打撃には定評があります。という訳で打撃技なら、
「掌底」はいかがでしょう?獣神サンダーライガー選手も2020年のドーム大会で引退するので、”継承”として使ってもいいのではないでしょうか?膝にも負担が少なそうですしね。”ツイスト&シャウト”の後にヒットさせると説得力が増しそうです。
唯一の欠点としては見た目が若干地味かな(笑)。
シャイニング系も考えたのですが、棚橋選手が多用する「ドラゴンスクリュー」は武藤選手の得意技で以前から使っているので、シャイニング系をすると武藤選手から「パクリだ」と言われそうなんでやらないんじゃないかな。(実際に2015年のG1決勝戦で武藤選手がゲスト解説で、棚橋選手がドラゴンスクリューを繰り出したあとに「あれは俺の技だ!」と連呼してました(笑))
井上が考える棚橋弘至の新フィニッシュホールド~担いで落とす系
垂直落下式ブレーンバスターや垂直落下式DDTなど持ち上げて落とす系もいいのではないか?ただ、近年のプロレスは過激な技が増えてきて怪我で長期欠場や引退に追い込まれている選手もいるので、今後は減ってくると予想されます。実際にWWEでは頭から落とす垂直落下式などの危険技は子どもが真似をすると危ないので使用禁止になっています。
と、いう訳で井上が考えるフィニッシュホールドは、ブレーンバスターの要領で肩に担いで静止します。
ここから反時計回りに回転しながら右腕で相手の首付近をロックしてマットに叩きつける。スリングブレイドをかけるようなイメージです。ゴールドバーグのジャックハマー的な動きですが、あそこまで身体を浴びせず、みぞおちの部分に右腕を乗せる感じです。技をかける棚橋選手は回転しながらお尻で着地すれば膝への負担も少ないはずです。
ジャックハマーと被りそうなら、みちのくドライバー式に持ち上げるのもありかもしれません。お互いが向き合う姿勢になるので棚橋選手の回転も半分でいいですからね。
書いててこれが現実的な技かと思ってきました。パイルドライバー系も考えたのですが、新日本プロレスにはオカダカズチカ選手や鈴木みのる選手など使い手が結構いるので難しいですね。
やっぱりフィニッシュホールドはあまり被らない方がいいので(笑)。
まとめ
棚橋選手の上半身は鍛えあげられているので担いで落とす系は説得力もあるんではないか?
- 上に持ち上げることで見栄えもいいし!
- スリングブレイドはオリジナル技として定着しているし!
- 膝への負担が少ない!
という訳で、新技がどうなるか分かりませんが、今後が楽しみです。
※追記※6月9日大会で新フィニッシュホールドを初披露?
先日の「DOMINION大阪」のタッグマッチで棚橋が新フィニッシュホールドを初披露?しました。
相手をネックブリーカーの様な体制で脇の下に抱えます。
スリングブレイドのような回転をしながら右腕を相手の首元に叩きつけます。
全体重を浴びせるように相手の首から背中にかけてマットに叩きつけます。
フォールして3カウント。
変形のスリングブレイドのような形です。正直、これで試合が終わってしまったので新フィニッシュホールドなのかは分かりません。棚橋自身も明言していませんし、最後も綺麗に決まっているわけではなかったからです。
棚橋「ジェイと闘っていくなかで、(※ヘッドロックにとらえる体勢を見せて)こういう体勢にすごい入られることが多くて。なんか、スリップブレイドとファイナルカット、足したようなイメージ。ダメージはいかほどなものか、俺にはわからないけれど。まあ、見といてください。精度を上げていくか、また空を飛べるようになるか……」
とコメントしているように、フィニッシュホールドまで昇華されるかはわかりません。KIZUNAロードには参戦するので、そこでフィニッシュに持ち込めるとG1での武器になりそうですね。